「百年文庫028 岸」
対岸から世の中を見たような三作品 「百年文庫028 岸」ポプラ社 「島守 中勘助」明治四十四年九月二十三日、ひどい吹きぶりのなかを島へわたった。これから「私」の住居となる家は、ほんの雨つゆしのぎになるばかり。周囲の山やま...
対岸から世の中を見たような三作品 「百年文庫028 岸」ポプラ社 「島守 中勘助」明治四十四年九月二十三日、ひどい吹きぶりのなかを島へわたった。これから「私」の住居となる家は、ほんの雨つゆしのぎになるばかり。周囲の山やま...
たくましくも戦争と向き合ってきた日本文学 「日本文学100年の名作第4巻 木の都」 新潮文庫 「木の都 織田作之助」十年ぶりに大阪の町を訪れた「私」。何気なく入ったレコード店の店主の顔は、どこかで見た記憶があった。降り出...
戦後復興期の小市民のおかしみ 「羊羹」(永井荷風)(「日本文学100年の名作第4巻」) 新潮文庫 東京の小料理屋で 働いていた新太郎は戦後、 物流の仕事で思いがけず 金回りがよくなる。 羽振りのいいところを 自慢しようと...
失われゆく江戸情緒を文章に留める 「墨東綺譚」(永井荷風)新潮文庫 「わたくし」=大江匡は、 執筆中の小説「失踪」の 主人公・種田の性格描写の取材と、 隣人の騒音からの回避のため、 玉の井に通い始める。 ある日の夕方、 ...
瀟瀟と雨の降る一日に 「雨瀟瀟」(永井荷風)(「百年文庫028 岸」)ポプラ社 「わたし」と付き合いのあるヨウさんは、実業家であるとともに艶福家であり、そして妾を抱えていた。ヨウさんの用いる彩牋堂主人という雅号を知ってい...
妖しげな部分は全くありません。 「来訪者」(永井荷風)(「文豪怪談傑作選・昭和篇」)ちくま文庫 悪夢に襲われ、熟睡できなくなった「わたくし」は、不思議な力を持つ酌婦のもとへ通いつめる。その女と夜を過ごすと、悪夢から逃れる...